前回の税務調査の「基本的なスケジュール」に引き続き、
「調査内容」について記載していきたいと思います。
「調査内容」をどこまで記載するかがポイントになりますが、
一般的に「調査」として確認が入るところをピックアップしていきたいと思います。
1.収入
医療機関の収入の調査は、保険収入がメインであれば先生方がどうこうすることは
できないはずです。
(昔はあったみたいですが・・・)
調査官も医療機関の税務調査は慣れていますので、
概算で窓口収入は計算してきます。
その概算窓口収入と実際の窓口収入の誤差を追っていきます。
しかし、現在はレセコンが当たり前のように導入されていますので、
この辺りの誤差も通常は許容範囲内になるかと思われます。
収入のポイントは自費収入になります。
それも役所関係の健診や予防接種などではなく、
クリニック独自の自費収入になります。
医科系であれば、インフルエンザなどの予防接種や健康診断になります。
歯科系であれば、自費収入全般と金属クズなども要注意です。
この辺りはレセコンに影響を与えない部分ですので、
レセコンにあえて入力をしていない先生も多いかと思います。
レセコンに入れていないのであれば、別の管理帳票(領収書、予約票、
入金管理表)があるはずですので、そのあたりの帳票の流れは要チェック項目
になります。
入金部分だけではなく、自費に関しては必ずと言っていいほど
何らかの原価(医科であればワクチン、歯科であれば技工所など)が発生します。
その辺りのチェックは調査官はよく分かっていますので、収入の帳票がしっかり
していても、原価から何かが発見される可能性はあります。
もちろん「書き漏れ」や「ワクチンのあまり=廃棄」などはありえますので、
変なことがなければ、その辺りを説明できれば大きな問題にはならないはずです。
もう一つ収入のチェックで漏れやすいのが、スタッフの自己負担部分になります。
自己負担部分を100%もらっていれば問題ないのですが、
全額補助や一部負担としているのであれば、管理方法や規定のチェックを兼ねて、
一度税理士と確認をしておくと良いと思います。
2.経費
経費については、大きく3つのチェック項目があります。
①専従者やスタッフ給与
当たり前ですが給与は労働対価です。
労働をしていない人間に対して給与が出ていないかのチェックになります。
特に専従者に関しては給与の金額が労働対価として見合っているかも
ポイントになりますので、一度税理士と相談をしてください。
医療法人の理事に関しては、労働をしていなくても、
理事長を含め法人の経営をしておりますので、
同業他法人などの理事報酬を参考にし、報酬を決定するようにしてください。
②棚卸
期末在庫を言いますが、出来ていない医療機関は多いいと思います。
不良在庫のチェックにもなりますので、毎月末などに棚卸しを行う事を
お勧めします。
また歯科に関しては、技工所の分が漏れていることが多いようですので、
忘れずに計上するようにしてください。
③私的な経費
趣味の延長の経費であるとか、飲み代(飲食代)などがこれに該当します。
当たり前ですが、業務に関係のある経費以外は私的な支出ですので、
経費として認められません。
これは個人・法人関係ありません。
例えば毎日のように診療後に飲食に行くとしましょう。
この飲み代はOKでしょうか?
業務に関係のある方(専従者のみはダメです)との飲食であれば私はOKだと
思いますが、毎日飲食(接待や会議)をする業種ではありませんので、
毎日はありえないと思います。
場所も問題になることがあります。
クリニックとかけ離れた場所の飲食に理由を問われることはあります。
その理由付けも用意しておいた方が間違いはありません。
一番良いのは日報のようなものに、領収書を添付し、誰とどんな内容の話を
したかを記録として残しておくことです。
どうでしょう。
調査内容について、収入と経費で分けて記載しましたが、
基本、当たり前のことをチェックされているだけになります。
ただ長年やっているとどうしても手を抜き出してしまったり、
システムが変わった時に、出来ていたものができなくなったりしてしまう事が良くあります。
日々のチェック体制や定期的なチェックを行う事が不安のない税務調査を受けるための
第一歩になりますので、チェックシステム作りを税理士と検討して見てください。